ナイフマスターになろう!

人間には「手」という優れた道具が備わっています。

そしてさらに、手の延長として道具を発明し、使いこなすことによって脳を発達させ、高度な文化や文明を作り上げてきました。

人間の手は「第3の脳」または「身体の表面に拡大された大脳」だ、ともいわれています。

その人間が、手の延長として選んだ究極の道具が「刃物」だと思います。人間の暮らしや生業において刃物がなくては成り立たないものが多くあると思います。


ダーウィンは「言語を除いて、人類が成し遂げたもっとも偉大な発明は、火を熾す技術だ」と言いました。

火は明かりや暖を取ると同時に、人類の飛躍的進化のミッシング・リンクといわれている「料理」を可能にし、人間はそれに適応することで地球上での繁栄を勝ち取りました。

火を安定的、効率的に管理するためにも刃物が必要になります。それだけではなく、創造的な作業はすべて刃物が支えていると言っても良いと思います。つまり、人間は手を使い、刃物を通して、成長してきた動物です。

刃物を上手に使うには、頭で覚えた「知識」は役に立たず、経験に裏打ちされた「知能」が必要です。

刃物でものを切るだけでも、素材によって力の入れ加減があります。刃の角度や操作も違ってきます。

柔らかいもの、目があるものなど。素材に適した扱い方をしないと、うまく切れませんし、思わぬ怪我や事故にもつながります。

ところが、現代人はハイテクノロジーの道具に頼り過ぎてしまい、刃物を使いこなすという、基本的な「手」の機能を退化させてしまっていないでしょうか?

包丁が使えない。ナイフで鉛筆が削れない。ものがしっかり握れない子供たちが増えています。

たしかに、便利で豊かな文明社会に暮らす現代人にとって、ナイフは特別重要なアイテムではないかもしれません。だが、人間が自然に帰属する生物である以上、手とその延長の道具(ナイフ)を通して、自然の成り立ちや仕組み、特質といった事柄を、皮膚感覚を通したリアルな情報として取り込んでいく「野生」を無くして、生き延びることはできないと思います。

私がアウトドアに憧れを抱くのは、人間の真っ当な本能ではないかと思います。

人間は、自然に出かけることで、野生に目覚めます。そこで、自らの手で生きる素朴な喜びと感動を取り戻すことができると思います。その時、改めて刃物が頼りがいのある道具として息を吹き返します。

一般的に野外で必要とされる刃物には、ナイフ、包丁、ナタ、オノ、ノコギリなどがあります。大きさは異なりますが、いずれも刃物としての機能を十分理解し、使いこなすことができれば、ひとつの刃物で代用することもできます。

また、ナイフや包丁、ナタには両刃と片刃があります。両刃というのは、刃が左右からと犠打してあって、ものを真っすぐに切る作業に適しています。

片刃の刃物は、切り出しナイフや出刃包丁に代表されるように、刃を片側に研ぎ出してあり、抉るように刃が食い込んで切ることができます。

両刃は用途が広く、便利に使えます。片刃の方が切れ味は鋭いですが、扱いは難しくなります。片刃が使えるようになると一人前といわれます。

ナイフが使いこなせるようになると、アウトドアの楽しみが無限に広がってきます。さらに、自然との距離が近くなり、その触れ合いを通じて学ぶことも多く、人間的な成長もあると思います。

刃物は常に危険と隣り合わせだということを忘れてはいけません。正しい使い方をすれば、これほど便利な道具はありません。使い方を間違えれば、危険は凶器に貶めてしまい、その分岐点は人間の品性に関わっていると思います。

ナイフを手にする者は、刃物の「聖性」を穢すことのことのないよう、強い心で向き合って欲しいと願っています。

ナイフの携帯方法には十分な注意が必要です。

銃刀法では刃長6cm以上の刃物は正当な理由がない限り携帯が禁止されています。

それ以下の長さでも軽犯罪法での取り締まり対象です。キャンプでの利用は正当な理由なのですが、くれぐれも車のトランクに放置するのも取り締まりの対象になりますので、ご注意ください。また、20歳未満の購入者は保護者の同意書が必要です。

さくランド

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